天草とイタリア。かつてキリスト教でつながった二つの地の人々を、再び結びつけようとする取り組みを、熊本県天草市在住の漫画家、高浜寛さん(47)と友人らが始めた。高浜さんが潜伏キリシタンを題材にした連載を構想したことをきっかけにイタリアの大司教と縁が生まれ、この秋、巡礼団が天草を訪ねてくることになった。
- 「ニュクスの角灯」の高浜寛さん、今春に新長編 舞台は故郷の天草
外海に面した島々からなる天草地域には早くからキリスト教が伝来し、イタリアなどから宣教師が訪れた。「天草・島原の乱」(1637~38)の後も、弾圧の下ひそかに信仰を続けた潜伏キリシタンが多く残り、2018年に世界文化遺産となった「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」に含まれる崎津集落などに、その名残が伝わる。
明治時代の長崎やパリを舞台にした作品「ニュクスの角灯(ランタン)」で、20年の手塚治虫文化賞マンガ大賞に選ばれた高浜さんはその前年、長く離れていた郷里の天草に戻った。
長崎を舞台にした3部作の執筆を22年に終えると、潜伏キリシタンや天草四郎の埋蔵金伝説を題材にした作品の準備に本腰を入れた。それが、いまウェブで連載中の「獅子と牡丹(ぼたん)」だ。
高浜さんはイタリアやフラン…